水鏡文庫

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青の群青

 

ぼくは、きみになれば、愛されるのかな、きみになれば、きみみたいになれば、きみみたいに愛されるのかな、そんなのわからねえ。けども、きみとぼくはたしかにちがうのだから、ちがうひかりかたをしているのだから、一緒になってしまえば、ひかりはひとつになってしまうのだ。それは、すこし淋しいだろう。それは、すこし暗いだろう。

 

暑くたって、寒くたって、あの子はいつも水色のウィンドウブレイカーを着ていた。あの子はいつも暗い顔をして、歩いている、というよりも、徘徊している、といったほうが、より正しいような、そんなふうにして、ここらに現れていた。俺は、あの子とすれ違うたび、ひどくぞっとして逃げ出したくなる。俺を、見透かしたように、こちらをぎょろりと、にらむあの子のふたつの瞳はかなしいほどに、うつくしく、そして濁っていた。自動販売機のゴミ箱に入りきれなかったカンカラを、思い切り蹴飛ばしてみても、俺はたしかにあの子に似ていた。俺はぜったいに、悪くないのだから、俺に罪などないのだから、そんな目で俺をみるな、みるな、みるな、みるなみるなみるなみるな、みるな。

 

殺されたいわけじゃない、だけど生きていくのもじぶんで死ぬのもいやな水色のあの子が、おっさんに殺されちまったなんて、そんな噂も流れたけれど、すぐに忘れ去られてしまった。ひとびとの関心を、惹き付けなかったのだろう。

 

死にたくない!

 

仕事をして、認められて、そうしてどんどん周りからの信頼も得て成長してキャリアアップなんて、夢かもしれないけど、それでも私は、諦めたくない。新入社員研修で、協調性のないひとはキャリアアップは難しいとか、他責より自責が大切だとか、うちの銀行のひとではない知らんおっさんにいろいろ言われたの、それってほんとうなのか?と懐疑心を忘れないようにして、聴いていた。知らんおっさんは、懐疑心をもつのではなく、受け入れることが学習に繋がると言ったけど、私はそうは思わなくて、その時点でもう、懐疑心をもってしまっていた!おもしろいね、おっさん。もう二度と会わないだろう、おっさん。一期一会。

 

おっさんにいろいろ言われたの、ほんとは凹んだんだよ。泣きながら東西線に乗って、周りからの視線に耐えて、だけどいまはちがう。

 

最近すごく前向きになっているような気がする。死にたい言わなくなったし、まあ知らんうちにストレス溜まってるけど、私なりのやり方がちゃんとあるのだし、私の考えというものはちゃんとあるのだから、それでよかった。

 

きみと一緒に生きていたい!