水鏡文庫

Twitter→@Mizukagami100

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

蒼い夜

深夜3時の病棟の廊下は真っ暗だった。ぼくしかいなくてだれもいない。心地よい。病室から見える新宿は今日もかなしくなるくらいにきれいで、ぼくはここからでられないのに、夜景にとけてなくなりたくなった。 夜の新宿が好きだ。キャッチのおにいさんをピン…

堕天使

ぼくのまえにあらわれたうつくしい天使は、じつは、ぼくの自己愛にすぎなかった。天使はいつまでも、ぼくの心に居座って離れなかった。ぼくはぼくのことを愛せないから、かわりにぼくのなかの天使がぼくを愛するのだ。虚構にすぎなかった。そんなことは、わ…