水鏡文庫

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2021-01-01から1年間の記事一覧

ラストノート

自分を見失ったとき、生きてる価値が分からないとき、辛いとき、自信を取り戻すための何かが欲しかった。自分だけ透明な箱に入れられて、周囲から隔離されているかのように感じてしまうとき、私はこんなことができる人間なんです、って誇れることが、なにか…

夏のせい

すきなひとに絶望するなんて、こっちが勝手に理想を押し付けて気持ち良くなっていただけだって、ありありと思い知らさせる。ぼくの絶望を歌にしてくれていた、ぼくの代わりに叫んで暴れて、こんな世界おかしいよって、そういってくれたあのひとはもう、いな…

やるせなさ

さいきん、あまりにもやるせないことが多くて、もはや笑うしか方法なくて、へらへらいきてたら、ふつうにおかしくなっちゃってるのに、気付けてなかったみたいだ。耳鳴りが酷くて耳鼻科に行って、でも耳に異常ないから、精神的なものらしくて、あああってな…

嫌い

身体より大きいものを抱えて、へらへら笑って生きるしか方法がわからなかった。いつもそうだった。ひとより抱えてるものが、デカければデカいほど、すごいのだと思い続けていた。逃げ出さないことが、何よりもいちばん正しいのだと、いまでもすこし思ってし…

うそつき

気が付いたら、私がどこにもいなくなっていた。 愛されたかった。嫌われたくなかった。そのくせ、ひとから好意を向けられることが怖くて、それはほんとの私じゃないから、きみの見ている私は、たんなる幻想のなかの女の子でしかないのだと知ってほしくてたま…

つめたい

祖母が死んだ夜に、弟となにがおかしいのかわからないくらいのくだらないこと言い合って、こんなことほんとうにくだらないのに、笑うしか方法がなくって、笑えてしまう自分に嫌気がさしたりして、どうしようもなかった。祖母の遺影は、私とのツーショットら…

繕い

取り繕ってるようにみえているのだろう。必死に生きているつもりだった。どうにか継ぎ接ぎのぼくで間に合わせることができるほど、かなしいことに、ぼくはかしこくはなかった。凍ってしまったミネラルウォーターは、ぼくののどを潤してはくれなかった。役に…

蒼い夜

深夜3時の病棟の廊下は真っ暗だった。ぼくしかいなくてだれもいない。心地よい。病室から見える新宿は今日もかなしくなるくらいにきれいで、ぼくはここからでられないのに、夜景にとけてなくなりたくなった。 夜の新宿が好きだ。キャッチのおにいさんをピン…

堕天使

ぼくのまえにあらわれたうつくしい天使は、じつは、ぼくの自己愛にすぎなかった。天使はいつまでも、ぼくの心に居座って離れなかった。ぼくはぼくのことを愛せないから、かわりにぼくのなかの天使がぼくを愛するのだ。虚構にすぎなかった。そんなことは、わ…

いるかの話

わたしが死んだら、彼もともにいれてほしい。わたしの涙を吸い取ってくれていた彼は、いまも押し入れから、わたしの姿を見守っている。 わたしは、ちいさいころからいるかという生き物がだいすきだった。ながい入院の間の外泊でみた、水族館のいるかショーは…