水鏡文庫

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罰当たり

天井を見上げていつも通りのみずいろのイルカにほっとしながら絶望するくらいの朝に、生きてもいいなんていわれなくたって生きてしまう私がくだらないくらいに悲しくて手を握ったり開いたりしていたのに。

 

その手はしろい骨みたいで、しろい傷を隠さない半袖のしろいシャツが眩しかった。

 

なんにもできなくて、なんにもなれなくて、お給料は出ているのに、ずっと引きこもりっぱなしで、お手伝いは必死にしているけれど、私の生きている価値を見出したくて、必死にしているけれど、それでもだんだん価値が薄くなっていく。両親に非難されても仕方ない、死んでるのと同じだ。父親は、給料が発生しているのになにもしていないから罰当たりだと、そういった。私にはなにも言い返すような言葉もなく、私はなにも言い返すような価値もない人間であるため、黙っているしかなかった。勉強をしても、私はもう学生ではないのだから、なにかしていることにはならず、非常に非生産的で生きている意味が全くわからない。

 

私はなにをしたらいいのだろう。私は与えられたものは完璧にこなせるように努力してきたつもりだ。これまでも、これからもそうしていくつもりだ。だけど、いまはそれがなにもない。私が定めたことなど弱くて簡単に覆せてしまう。だから、私は非生産的で死んでるのと同じなのだ。

 

非生産的な私は両親にとって生きている価値などなく私のことを愛しているのではなく私が生産するものが好きなだけだったのだ。昔からそうなんだ、私のことなど好きではない、私の才能が好きだったのだ。私の才能が、価値を愛しているのだ。だからなにもできない私は、罰当たりなのだろう。

 

私は綾波レイにはなれなくて、ぼくは綾波レイではなくて、私は綾波レイではなくて、ぼくは、私は、私は、綾波レイになりたかったのかもしれなかった。綾波レイは蒼い。綾波レイは蒼くて純白で、みずいろだ。私の好きな、みずいろだった。でも、私のみずいろは、あなたのみずいろではないのである。これを言うのにずいぶんと勇気がいるものだね、こんな私をどうかどうか笑ってください。

 

私は罰当たりだ、なぜなら生産的ではないから。私の生きる価値、私の価値はどこにあるのかわからない、腥い。こんなに腥いはなしをしたいわけじゃないんだよ、私はもっと、流星群をおよぐうお座の話とか、しろい雲の間を優雅におよぐジンベイザメの話をしたかったんだよ。こんな話、誰も読まない。私に価値はないからね。

 

生きていなかったらよかったなとふとおもう。でも君に会えなかったら私は嫌なんだ。君に会えたのは生きてたからなんだけどどうしようもなく生きていなかったらよかったと思ってしまうこんな私をどうか許してね