水色のいるか
夏なんてさっさと滅びろやなんて悪口ばっかいいながら歩いてたら本当に最近は涼しくて過ごしやすいですね、多分ね、それ私のせいなんですよ。この世界のわるいこと、全部、私のせいなんだって思っている、そんな自意識がデカい虫になってもぞもぞ動いて……って考えてたら、キモくてしかたねえの。
水色のいるかは、今日も泳いでいる。私のことを、ずっと知ってるのよ、このいるかは。私が、自分に傷をつけていたあの日も、このいるかはずっと天井から見ていた。
しあわせのあとにはかなしみがあって、それがじんせいなんでしょ。だから、くるしいことがあるかもって、不安になって、部屋のなかを、檻のなかにとじこめられたみたいに、ぐるぐるまわっているだけだった。
就活がひと段落ついたら、今度は卒論で、やらなきゃなんないことなんて、いっつも、山積みなのに、それでも、やりたいことは、あったんだよ。不安にまみれて、もはや死んでしまいそうになるくらいに、溺れていく。
海のなかに、ひとりぼっちで飛び込んで、あなたのとこにいけたら、どんなによかったかな。
くらい海の底が、きらきらひかっているとおもったら、ただの硝子だったなんてこと、たくさんあるけれど、その硝子を愛していたいのだ。
睡眠薬を酒で飲んで泥のように眠ってそんで昼過ぎに起きるような生活でもそれでももがいてしまうボクは本当に本当にだれより人間らしくて嘔吐くくらいにどうしようもねえななんて噛んだガムを空に吐き出して缶からを蹴飛ばしてああもう死んでしまいそうだなんて笑うボクのカシャカシャした薄っぺらなウインドブレーカーは水色。
あーあ、もうやることなくなっちゃったし、死んでもいいかなあ
仕事決まって、来年から働くけど、すぐにダメになって辞めてしまう未来しかみえなくて、頭の中がぐらぐらして、ふらふらして、薬を飲んで眠っている。
死ぬほどやったって死なねえよ、それが口癖だったあいつは、本当に死んでしまって、笑えやしねえよ。葬式で、涙さえ出なくて、へらへら笑って、美味しいお寿司を食べたら、涙が出てきたから、トイレ行って、涙拭いて、またへらへら笑って、おもしろいな、泣いてんのに笑って、感情がどっかいっちまったんだよ、あいつのせいなんだ。死んじまったら、死ねないだろ。ばーか。
涙が空に落ちて、水色にボヤけた。
愛しているなんて、本当だよ、幻覚でもいいからさあ、おねがいだよ。
ばーか。