水鏡文庫

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諦観の追悼

私は、諦めたくなかった。いつも、そうなのだ。諦めたら、悔しいから。きみにあげるプレゼントは、ぜったいにきみにぴったりのものにしたくて、ちょっとの妥協も諦めも棄てた。

 

誰が悪いとか犯人探しするよりさ、祈るしかないことが、たくさんあるんだって、わかって、どうしようもなさに、厭きることは、きっとこの先もあるんだろうな。

 

人間は、均しいさ。ぼくは、きみのことを、人間だと、そう思っているんだ。

 

きみのことを、愛しているひとが、たったひとりでも、存在していた、もしくは、しているのだと信じるだけでいいよ、それだけでも、いいんだよ。

 

私は、きみのかなしみもしあわせも大切にしたいんだけれど、きみがそれを大切にできないっていう気持ちがあることも、大切にしたいんだな。

 

愛しているから頂戴なんて、傲慢だよ。

 

今年の夏は、もう夏じゃないのかもしれないなんて、ちょっと身体はよろこんでいたけれど、冷房の効いた、つめたい空気を吸い込んだときの、じぶんのあつさが、ぜんぶぜんぶ透明になる、あの感じが、嫌いじゃあなかったんだ。

 

きみのいない、夏。3年前、一緒に世田谷区の経堂駅を、暑いねって笑いながら、歩き回って、ケーキ買って、奥まったきみの部屋で食べたよね。きみがはやく、げんきになって、わたしに会ってもいいと思えたら、それで、しあわせ。はじめは、なんでかなとか、きみを傷付けたんじゃないかとか、かなしくて、仕方なかったけれど、きみを死ぬまで信じてる。

 

融けて、アスファルトになるのはごめんだ。

 

生きていることが、とてつもなく気持ち悪くなって、指突っ込んで吐いた深夜に、人間がこっち向いた瞳を思い出して、タオルケットにくるまる。

 

カラオケボックスで、死にたいな。

 

人間の、目が怖かった。こっちをギョロリと剥いているのが、とてつもなくて仕方ない。久しぶりだった。弱っているのかもしれない。

 

ピンク色もMILKも、捨てたくなくて、処女なんて今すぐにでも捨てたっていいから、ピンク色とMILKだけはまもりたいよ。ママに、顰め面を向けられても、たくさんのいちごがプリントされたすてきなMILKのワンピースに、ピンク色のリボンのカチューシャをつけて、歩いていたい。

 

精神安定剤をのんで、やっとまいにち、みんなにみえるわたしを創り上げているのよ。

 

空の水色と、きみの水色と、海の水色が、反射して透明になる。それがうつくしくて、ぼくは夏が嫌いになれないんだ。夏が嫌いになれないのは、きみのせいだよ。

 

それでも、生きるしかないんだといつも、そう思っている。わたしだって、大学卒業できんのかなとかちゃんと内定先になじめんのかなとか、不安でできてると言ったって、言いすぎじゃないくらいに、不安で仕方ないけれど、きみが生きていることは、うつくしい。

 

あなたの生命に、祈ります。うつくしかった。