水鏡文庫

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そこで息をしていて

きみはそこで息をしていてほしい、そんな私の傲慢さを赦さなくてもいいんだ。だから、きみは、きみだけは、たしかにそこで息をしていて。

 

ああ、大学がはじまる。ひとの群れがうごいて、そのたびに私は仮面を変えなくてはならなくなる。憂鬱って言葉はあまりに手垢がつきすぎていた。だから、この感情に名前はないのだ。いつまでも透明でいるんだよ。透明なんてあるのかわからないけれど、信じるしかない。きみがそれを信じていさえすれば、いつまでもそこに透明はあるさ。

 

なんにもやる気がないなあ。結局、ゼミ合宿にも行かないで、こうしてベッドから出られないわけだけれど。いまの私は、きっと、抜け殻みたいに眠っている。でも、抜け殻って、ちょっとだけだけど、綺麗だ。眠っている私に、抜け殻の綺麗さは、全然似合ってなくて、笑いをこらえていたら、知らないうちに眠っていた。私に価値なんてなくて、それでいい。

 

今日いちにちを、ベッドのうえで過ごしていた。なんにもやる気ない、でも言葉だけはぽこぽこ湧き上がってくるから、こうして吐いている。きみに伝えたいから、涙を拭って、誰の手だかよくわからん手でタイピングして、私の手がどんどんふあふあ飛んでいっちゃうみたいに。

 

あー、めんどうだ。生きるのは極めてめんどうだけど、生きてるのはうつくしいから、うつくしくいたいから、だから生きる。

 

死にたくない。

 

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