水鏡文庫

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追憶のきみ

あついなつ、なついあつさに人間は融けて、アスファルトに貼り付いている。気持ち悪い。気持ち悪くて、どうしようもなく愛おしい。人間は、私にとって、はじめから、ずっとそうだった。だから、私は人間になりたかった。 就活のときの私は、くるくるのデジタ…

諦観の追悼

私は、諦めたくなかった。いつも、そうなのだ。諦めたら、悔しいから。きみにあげるプレゼントは、ぜったいにきみにぴったりのものにしたくて、ちょっとの妥協も諦めも棄てた。 誰が悪いとか犯人探しするよりさ、祈るしかないことが、たくさんあるんだって、…

洗礼と誕生

はじめに この文章にはアニメ『さらざんまい』の最終話までの内容を含みます。 4月からずっと彼を追いかけ続けていた。彼のしあわせをただただ、祈っていたのだった。でも彼は人々とのつながりを糧に、硬い卵の殻を破っていった。かつて、絶望に身をまかせて…

きみになりたい

ぼくは、きみに、なりたかった。かわいくて、一生懸命な、きみに、なりたかった。けれど、なれなくて、だって、きみはぼくじゃなくて、ぼくはきみじゃないから、でも、なりたかった。それに気がつくのが、あまりに遅すぎた。ぼくは、きみにきらわれた。それ…

花束はいらない

うつくしいこと。うつくしいことをしたい。祈りを愛すること、たしかにうつくしいと、思うのです。 明日、誰にもわからない。私が死んでしまってもいいように、死んでしまったら、私の欠けたティーカップで、一緒にお茶を飲むかもしれないじゃない。きっとそ…

夕暮れの鴉

だめな自分だって自分なんだろうけどさ、それは分かるよ、うん。でも、私は、いつだって最高でいたいんだよ。最高でいれるように、努力して、だめになってしまったら、許してくれる場所が、ほしいんだよ、そういう場所がさ、あったら、私ももうちょっと、な…

永遠の海

愛するものよ、愛するものよ どうか、私の傲慢さなど受け入れないで 海のむこうまで、生きていてくれ 永遠を海だといった、詩人がいるでしょう? そこに、永遠はあったのだ さあ、きみはお元気ですか。私はまあまあ元気に生きています。就活とか就活とか就活…

憂鬱と明日

明日、こなくてもいいよって、思っても、残酷なのさ、明日はやってきてしまうから、私が終わらせてしまうしか、方法はなかったから、いつまでもこうして生きている。 憂鬱は、風が運んでくるし、風が奪い去って、また誰かのもとに。 なんにもみえなくて、な…

しあわせを積み重ねて

遅ばせながら、あけましておめでとうございます。というかもう、寒中お見舞いかな。2019年もこうやっていろいろ考えたことを文字にしていくから、そのつもりだから、よろしくね。きみへ。 かぜをひくと、あーあ、いろいろ考え込んじゃって憂鬱になってしまう…

はりついた孤独

のどがひりひりする。ひりひりするのどにべったりはりついた孤独が嗚咽になる。悲しかった。 私の欲望は、いつも他者を介してでしか存在していなかったことに気がついて、この手は誰のために動いているのか、この血だらけの腕から剃刀を離すことができなかっ…

きみの横顔を

きみが生きていたという、その事実が、私を生かしているのだと。 月の淡いひかりに照らされたきみの横顔は、あまりに生きていて、なまなましくて、おもわず目眩がした。まるで、私が生きているというむきだしの事実を突き付けているかのようだ。それはあまり…

ぼくのぬけがら

私の存在が、そこにあることが、ひどく不安で、今すぐ透明になれたらいいのに、クリームソーダのちいさな泡みたいにしゅわしゅわ消えてしまえたら、どんなにいいかなんて考えて、たくさんの人ごみをかきわけて、かきわけて、歩く。泣いていてる私を、誰も気…

そこで息をしていて

きみはそこで息をしていてほしい、そんな私の傲慢さを赦さなくてもいいんだ。だから、きみは、きみだけは、たしかにそこで息をしていて。 ああ、大学がはじまる。ひとの群れがうごいて、そのたびに私は仮面を変えなくてはならなくなる。憂鬱って言葉はあまり…

きみの掌がふるえている

だめになってしまった。 知らないきみの掌がふるえているのを、見てしまったから。もうだめだ、と思っていたら、ぐにゃりと白い壁が歪んだ気がした。夢だったのだ。 だめになってしまった。 家庭教師したくて7月くらいからずっと探しているんだけど、なかな…

逝く夏によせて

逝く夏? まだまだだね、まだ生きている。しばらくしぶとく生きているよ、私を殺すくらいには。私を殺せるのは、思想だけだよ。 悲しみという感情に、こんなにも身を削られることがあるのかというくらいに、苦しいことが耳に針のように刺さって、抜けてくれ…

天使は皆死んだ

呼吸することさえ苦しい暑さのなかで、きみはなにを想っているんだろう。ぼくはあんまり生きていないけれど、きみはどうですか。世界がプランテーションだったら、ちょっと面白いな、なんて妄想しているよ。 人間はよわいよ。暑さに殺されてしまうくらいには…

桜桃と純白

今年の桜桃は美味しいとか、毎年毎年比較されてるけど、桜桃なんて毎年いつも美味しい。苺だって、苺なんだから美味しいよ。毎年違っていいんじゃないかな。多分。 桜桃といえば、6/19がたまたまヴァイオリン休みで桜桃忌に行けた。めっちゃ最高。運命じゃん…

ぼくが死んだら

たとえばぼくが死んだら そっと忘れてほしい 淋しい時は ぼくの好きな菜の花畑で 泣いてくれ 森田さんが、死んでしまった。精神的にいちばん最悪だったときの私に、そっと語りかけてくれた存在。中学のときに存在を知って、今は大学に行くとき、しんどい朝は…

君のための詩を

君のための君が、私ではないと知ったとき、あなたに見えている私で、私みたいななにかを、君と呼んでいると知ったとき、私はどこにも存在しなくても、いい。 蒼い空もすべてが皮肉で、晴れよりも曇りのほうが、ずっと好き。曇りで、雨はほとんど降らないって…

夏は死の匂い

病気であることが、私の生きる術だった。病気でない私は、今までいちども存在していなかったから。病気であることで、心配されるのがたまらなく好きなのだ。とにかく両親を繋ぎとめようと必死で、自傷して、未遂して、いつもよりも優しく、生きていてくれて…

18で死ぬつもりだった

死にぞこないでちょっとよかった。 最近どうもおかしい。夢から醒めてもいつも夢だ。夢の重さと現実の重さがおんなじになって、現実味だと思い込んでいた現実がどんどん遠ざかってしまう。夢が融解している。おんなじお皿に蜂蜜とバターを盛り付けたときみた…

5月の葉

生まれたことがすごいかは知らんけど、生きてることはまぎれもなくすごいんじゃないかなって、さいきん思っている。生命の神秘。はぁ。人間の誕生。へぇ。ってかんじ。正直あまり興味がなかった。生まれたことって、すごいのかな。誰がすごいのかな。それっ…

4月の青

4月、絶望である。絶望といっても、まっくらくらのそんな絶望じゃなくて。ふわふわってしたもっとあかるい絶望。絶望は、べつにまっくらなだけじゃないなあって気がついた。大学に入って3年目になって、もう3回目なのに、新学期はいつもこんなあかるい絶望に…

誰も悪くないかもしれない、ということ

この世界には、しばしば善か悪かあるいは白か黒かというふたつの思想をもって語られることがあまりに多い。だからといって、私がそのように思考することを辞められるほどの聖人でもないわけで、むしろそのふたつに支配されがちな人間であるということは、十…